2014年8月26日火曜日

極める。





15年ほど前に、霧島のあるヴァイオリン工房を訪れたことがありました。

そこにはヴァイオリン製作に情熱を燃やす黒田義雄さんと、ウィーンから一時帰国された清々しくはつらつとした娘さんのヴァイオリニスト、黒田印南さんがいらっしゃいました。

今年話題の「黒田管兵衛」や洋画家「黒田清輝」とも繋がりのある方です。
 
あれから十数年経った先日、そのヴァイオリニストの印南さんから、お父様の記事が記載された情報誌が届き、そのお父様とある記者との対談に深い感銘と共感を覚えました。

「力木と魂柱の微妙な形とわずかな位置の違いがヴァイオリンの個性や音を決める。そこで失敗したら完成までの苦労は水の泡で、長い経験と試行錯誤が必要。」

「80以上の部品が完全に噛み合って理想的な音質が得られる、どこかで間違うと何十年も弾きこむ価値のある音ではない。」

多少の違いはあってもギター製作にも通じるところがあって、無我夢中で読みました。

この対談や黒田家の道の全てが面白く、深くうなづきながら拝読しましたが、一部だけ抜粋、紹介してみます。


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 ・ヴァイオリンは今はクレモナだけの物だけではなく作り手は世界中に広がっており、それぞれの  国の風土を感じさせる物が評価されるのですよ。

・日本人のために日本で創るヴァイオリンが当然あるべきなのですが、肝心の音楽関係者が感心を持ってくれない。せめて「ここが悪い」と批判でもしてくれたら。→(記者)いやしくも専門家であれば、芸術家や教育者ははつらつとした好奇心を持って欲しいですね。

・考えてみれば、芸術家とは決して変質しない職人魂なのですね。ミケランジェロもベートーベンもゴッホも怒りを込めて時代と切り結んだ職人だった。
 
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最後に「黒田さんのように妥協のできない人は戦い続けるしかないのでしょう。今の時代、それが出来るのは最高に幸せな人かも知れません。」と締めくくってありますが、本当に一つの事を極めることは無限の宇宙のように奥深いもの。

私も今のこの時代にギターを続けられることを幸せに思いますが、同時にこのような混沌とした時代だからこそ、文化が必要とも言いたい気もするのです。

どこかの賢い方(笑)の「いつの世も文化が経済をリードしてきた。」と言ったこの言葉が本当であってほしい。人生とは、芸術とは従来の価値観とのせめぎ合いの混乱から生まれ、成長していくのではないかと当たり前のことながら思いました。

次時代へのバトンタッチ、過程のなかで生きているのですね。