6才よりクラシックギターを始め、高校2年在学中に初のソロリサイタルを開催。パリ・エコール・ノルマル音楽院ギター科演奏課程修了。ウィーン国立音大教授K.ラゴスニック、A.ピェルリ各氏に師事。 ヨーロッパ・クラシックギターコンクール第2位。山陰ギターコンクール第1位。長崎ギターコンクール第1位。名古屋ギターコンクール第2位。全国各地13か所、ロンドン、パリ、ポルトガルにて通算25回のソロリサイタルを開催する。 Fl.赤木りえ、M.グローウェル、Vn.大谷康子、会田桃子、G.レオナルド・ブラボー、Jazz Pf.石井彰、Vo.中孝介各氏と共演。クラシック~ポピュラーまでボーダーレスに活躍する。1st CD「ANO ZERO」2ndCDブラジル音楽作品集「Stone Flower」をリリース。みやまコンセール協力演奏家。現在、鹿児島市内の教室にて後進の指導にもあたる。地元のテレビ局をはじめ、日本テレビ、NHKなどに出演。鹿児島を拠点にしながらGGサロンコンサートに数回に渡り出演、現代ギター、CDジャーナル、ザ・フルートなど音楽専門誌にも多数記事が掲載される。
2015年8月3日月曜日
レパートリー講座 Vol.3
今回はヴィラ=ロボスの名作プレリュード第1番。
曲全体を印象付ける抒情的なメロディー部分だけ取り出して書いてみようと思います。
言わばブラジル人が根っこに持っている「歌」についてです。
まずヴィラ=ロボスはオペラ作曲家のプッチーニに影響を受けたと言っている。そして19世紀頃にブラジルのサロンやポルトガル王室で流行した「モジーニャ」の心が彼の作品の中に息づいている。
モジーニャはブラジルの最初のポピュラーミュージックと言われているけれど、同時にポルトガルのファドの原型にもなったとも伝えられているようです。
この独特の抒情的で感傷的な漂いは、十代の頃からブラジル音楽を長年聴いている私には机上の空論ではなく、感覚として少なからずわかります。*ここで言うブラジル音楽はポピュラーの事を指しています。(ヴィラ=ロボスを弾き始めたのは9才からです。)
そして更に私はポルトガルに1か月滞在した事があり、その間ファドハウスでファドのライヴを何度も聴いているし、又実際にファドのミュージシャン達ともセッションをしたり、素晴らしく天才的なポルトガル在住のブラジル人の女性歌手とも共演した事があるので、どちらの感性も肌で感じることが出来ます。共演したブラジル人の女性歌手は私が帰国する直前にもホームパーティーを開いて下さり、何曲も私の為にブラジルの歌をうたって下さいました。
このような経験を得て、必然的に「ブラジル風バッハ」にその影響を見出す事が出来るし、また「練習曲第11番のLentoの部分にも「モジーニャ」を感じます。
前奏曲第1番も例外ではありませんよね。動画は雰囲気だけでもと思い、参考までにヴィラ=ロボス作のモジーニャをアップしておきます。
それにしても、ポルトガルでは貴族のお茶会でサロン・コンサートをさせて頂き、お姫様のようにメイド様手作りの世界中のお菓子を頂き、王族の方がお屋敷敷地内の教会で私のリサイタルを主催して下さったことが、今では夢物語のようです。